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【体験レビュー】メルセデス・ベンツのSOUND DRIVEとは?車が“楽器”になるMBUXの革新機能を解説

目次

MBUX 2.6.1の注目機能「SOUND DRIVE」とは?

2024年、メルセデス・ベンツは最新のインフォテインメントシステム「MBUX 2.6.1」にて、革新的な音響機能「SOUND DRIVE(サウンドドライブ)」を発表しました。

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一言でいえば、「クルマが楽器になり、運転が音楽になる」という全く新しい体験。アクセルを踏む、ハンドルを切る、ブレーキをかけるといった運転操作に合わせて、音楽そのものがリアルタイムに変化します。

今回は、このSOUND DRIVEの仕組み、対応車種、実際に使ってみた感想まで、徹底的に解説します。

SOUND DRIVEの仕組み|音楽と運転が完全にリンクする世界初の機能

SOUND DRIVEは、車両の加速・減速・ハンドル操作などの運転情報をリアルタイムで解析し、それに応じて音楽のテンポ・音量・エフェクトを変化させる機能です。

例えば

  • アクセルを踏むと音楽が盛り上がる(ベース音が強調)
  • ブレーキを踏むとフェードアウトするように静かになる
  • ハンドルを切るとシンセや装飾音が加わる

これにより、ドライブがまるで映画のサウンドトラックのように演出され、走るたびに違う音楽体験が楽しめます。

さらに、EV(電気自動車)でも静かすぎて退屈しないようにという意図も込められており、「エンジン音に頼らない運転の高揚感」を演出する工夫が随所にあります。

将来的には、ワイパーの動きや天候センサーなど他の車載信号とも同期させ、「雨天時には落ち着いたリズムを流してドライバーのストレスを軽減する」など、さらなる発展も計画されているんだとか。

技術的な裏側|高精度の音源分解とAIリミックス技術

SOUND DRIVEに対応する楽曲は、通常の音楽とは違い、ボーカル・ドラム・ベースなどの音のパーツを細かく分解した「ステム音源」という形で車両に取り込まれます。

その上で、以下のような処理がリアルタイムで行われます。

  • 車両のセンサーが運転操作を検知
  • AIがその動きに応じて音源を再構成
  • まるで即興リミックスのように曲が変化

しかも音の繋がりがとても自然で、「違和感がなく、まるで一つの曲のように聴こえる」と評判です。

対応車種と導入時期|すでにOTAで順次配信中

対応しているのは、MBUX第2世代以降を搭載したメルセデス・ベンツの車種です。

具体的には

  • GLC(X254)
  • Sクラス(W223)
  • Cクラス(W206)
  • EQS / EQE などの電気自動車
  • AMG / AMGラインの車両(優先展開)

2024年末からOTA(オンラインアップデート)で順次配信されており、2025年現在は日本国内でもMBUX 2.6.1への更新により利用可能になっています。

実際に使ってみた人のレビュー集|「これはただの音楽じゃない」

国内&海外から実際に使ってみた人たちのレビューを纏めてみました。

【体験談1】静かなEVがライブ会場になった

GLCで試してみたところ、街中のゆったりした運転では音も穏やかで落ち着いた雰囲気。高速での加速では音が盛り上がり、「まるで曲の中に乗っている感覚」に。特にベース音の振動が加速に同期していて、かなり没入感がありました。

【体験談2】曲の再解釈が面白い

同じ楽曲なのに、運転スタイルが違うだけでまるで別のバージョンのように変化する。曲に飽きないし、「今日はどうリミックスされるかな?」という楽しみがあります。

【体験談3】まるで映画の主人公になった気分(40代男性・GLC 220d)

夜の首都高を走っているとき、加速に合わせて音楽が盛り上がっていくSOUND DRIVEの演出に驚きました。まるで映画のカーチェイスシーンに入り込んだような気分。音の変化があまりに自然なので、後半は本当に自分が演奏しているような感覚になりました。

【体験談4】子どもが大喜びで「もう一回!」(30代女性・EQB)

家族でドライブ中にSOUND DRIVEを使ったら、小学生の息子が大興奮。「ママ、次はもっと速く!」「止まってみて!」と、まるで自分がDJにでもなったかのよう。音楽と車がリンクする感覚に、子どもだけでなく私自身もワクワクしました。

【体験談5】仕事帰りの気分転換にぴったり(50代男性・EQS)

静かすぎるEVの車内に少し物足りなさを感じていましたが、SOUND DRIVEを使うようになってから、通勤の帰り道がちょっとした楽しみになりました。ペダルに応じて音が変わるだけで、気持ちが切り替わる。ストレス発散にもなっています。

【体験談6】渋滞中でも退屈しない(20代男性・Cクラス)

普段は渋滞が大嫌いなんですが、SOUND DRIVEがあると音楽が場面に合わせて変化するので不思議と退屈しません。動き出すと曲が盛り上がって、止まると落ち着く。ちょっとした音楽ゲームみたいで楽しいです。

【体験談7】お気に入りの曲が“進化”した(30代女性・GLB)

もともと大好きだった曲が、SOUND DRIVEを使うとまったく違う表情を見せてくれました。スローに走ればしっとり、ぐっと加速すればドラムが力強くなったりして、「え、同じ曲?」と驚くほど。毎回違うアレンジになって飽きません。

【体験談8】初めはギミックかと思ったが…(40代男性・AMG CLA)

正直「また余計な機能か」と思っていました。でも試してみたら、これが意外にクセになる。曲が自分の運転に合わせてノってくる感覚、ハマりますね。とくにスポーツモードにしたときの盛り上がりは圧巻です。

【体験談9】雨の日のドライブが優雅になった(60代女性・Sクラス)

雨の日はいつも憂鬱だったけれど、SOUND DRIVEで落ち着いた音が自然に流れるので、心が和らぎます。アクセルを踏みすぎなくても曲がちょうどよく展開してくれるのも安心。安全運転にもつながっている気がします。

メルセデスの公式声明でも、SOUND DRIVEは「毎日のドライブを確実に変えるエキサイティングな新機能」であり「車内エンターテインメントをこれまで以上に没入的にする」と謳われています。

ユーザーの声|メリット・デメリットを総まとめ

■ ポジティブな評価

  • 「運転がエンタメになるなんて想像もしなかった」
  • 「EVの静けさと相性抜群」
  • 「まるで自分が音楽を演奏しているような感覚」
  • 「運転するのが楽しくなった」

■ ネガティブな声

  • 「対応曲が少なすぎる(初期は約40曲)」
  • 「ダウンロードが遅すぎる」
  • 「使わない人にとってはただのギミック」
  • 「曲を操作しようとして注意散漫になりそう」

とくに「対応楽曲の少なさ」と「ダウンロードの手間」は不満の声が多く、今後のアップデートによる改善が期待されています。

私が実際に使ってみて思ったこと

SOUND DRIVEを使用するには、指紋認証や4桁の暗証番号などによる個人認証が必要です。

また、楽曲をダウンロードするにはインターネット接続が必須となっており、通常はスマートフォンのテザリングを利用して接続する必要があるようです。

インターネットアクセス用デバイス選択画面
テザリングは必須です。家の敷地内で、車にWifiの電波が届く環境であれば、それを利用することもできるみたいです。

SOUND DRIVEを利用するには、少々根気が必要です。

その理由のひとつが、楽曲のダウンロード速度が非常に遅いこと。曲を選んでから再生できるまでにかなりの時間がかかるため、思わず「まだ終わらないの?」とイライラしてしまうこともあります。

全部で40曲のラインナップがあるのですが、1曲ダウンロードするのに早くても10分はかかります。

「それなら運転中にダウンロードしておけばいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません

というのも、運転中にダウンロードを実行すると通信が不安定になりがちで、途中で回線が途切れてしまうことがあるのです。しかも困ったことに、再びダウンロードを試みても続きからではなく、なんと0%からの再スタート。これがなかなかのストレス要因になります。

ほかにも困った現象があります。運転中にダウンロードが100%まで完了したにもかかわらず、そこで画面がフリーズしてしまい、「ダウンロードは無事終わったのかな?」と曲を選んでみると……。

なんと、また0%からダウンロードが始まるのです。

せっかく通信環境のよい場所で完了したはずなのに、まるでそれまでの時間が無駄にされたかのような気分になります。これはなかなかのストレスです。

もうこれにはイライラが止まりませんでした。

ダウンロードした曲を流して走ってみる

さて、3曲ほどダウンロードしてみたので、いよいよ走り出してみることにします。

最初の印象が、どの楽曲も曲調が暗くて、とてもドライブするような雰囲気ではない感じ。なぜこんな曲ばかりを選曲するのだろう?と不思議に思いました。

しかし、SOUND DRIVEによる音の変化は、単なるエフェクトレベルの演出にとどまらず、明確に音響設計が意識された“動的なリマスタリング処理”のような印象を受けました。

まず、停車中からおよそ時速30km程度までは、あえて高域にロールオフがかかったような、ローパスフィルタリングされたトーン設計で、全体のダイナミックレンジも狭く、空間表現もコンプレッサーで抑え込まれたようなタイトさがあります。中低域はやや曇り気味で、ディテールの輪郭も意図的にソフトフォーカス気味に処理されている印象で、まさに「BGM的サウンドステージ」です。

それが時速40kmを超えるあたりから、徐々に帯域バランスが整いはじめ、特に4kHz~10kHzの帯域が解放され、ハイエンドが滑らかに持ち上がっていく感覚があります。ステレオイメージも左右に広がり始め、音場がフラットから立体へと“起き上がってくる”ような錯覚すらあります

50km/hを超えたあたりからは、マスキングされていた微細なディテール(シンバルの倍音、ボーカルのエアー感、アタック音の立ち上がりなど)が前に出てきて、音像定位が一気に明瞭化します。おそらくマルチバンドコンプレッションのスレッショルドが動的に調整されており、帯域ごとの音圧バランスとディケイタイムが運転状況に応じて変化していると推測されます。

一言でいえば、これは「ドライビング・インタラクティブ・マスタリング」。単なるオーディオギミックではなく、運転操作そのものが音場構成に影響を与える“パフォーマンス”になっている点が非常にユニークです。

とはいいつつもやはりデメリットが目立つ

とはいいつつも、デメリットが大きすぎて私的には毎日使用したいと思うほどではないな、というのが正直な感想です。

SOUND DRIVEには可能性を感じる一方で、いくつかの大きな課題もあります。

まず、使用できる楽曲が限定されているうえに、曲調が全体的にやや暗めで、テンションが上がりきらない印象があります。盛り上がりを期待していると、どこか抑え気味なトーンに物足りなさを感じてしまうことも。

さらに致命的なのが、ダウンロードにかかる時間の長さです。1曲あたりの転送に何分もかかるうえ、途中で通信が切れると最初からやり直し。これはストレス以外の何物でもありません。

正直なところ、最初は物珍しさで何曲か試してみたものの、それも最初だけ。今ではほとんど使わなくなってしまいました。機能としては面白いのですが、現時点では実用性に欠けるというのが率直な感想です。

まとめ

メルセデス・ベンツの「SOUND DRIVE」は、運転操作と音楽をシンクロさせるというこれまでにない斬新な試みであり、車がまるで“楽器”になるという新たな価値観を提示した先進的な機能です。
実際に体験してみると、音の変化や演出は非常に精巧で、車内にいながらまるでライブのような高揚感を得られる瞬間もあります。

一方で、対応楽曲の少なさ、曲調の偏り、そして何よりもダウンロードの不便さや通信の不安定さなど、現状では実用面での課題も多く、”面白いけれど常用はしない”という声があるのも事実です。

とはいえ、SOUND DRIVEはまだ始まったばかりの機能です。今後のアップデートや対応曲の増加、通信環境の改善などによって、より多くの人が気軽に楽しめる存在になる可能性は十分にあります。

“走りながら音楽を創る”という体験にワクワクした方は、ぜひ一度試してみてください。
あなたのドライブが、ただの移動ではなく“演奏”に変わるかもしれません。

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